はじめに
実際にどんなことをしているのかを、
まとめてみました。
会社の経理は、当然業種や規模により内容は異なります。
経理業務とは?の記事で経理業務について説明しています。

税理士事務所で仕事をしたことがありますが、税理士事務所の業務内容は税務に特化して顧問先を支援する業務でした。

しかし、会社で経理をすると「税務」以外の仕事も多く仕事の幅が広がります。
そのため、将来税理士として独立するにしても一度は会社で経理を経験しておくと大変勉強になると感じました。
- 従業員:150人(派遣社員含む)
- 業種:建設業・サービス業
- 売上:約100億円
- 経理:2~3人(入出金管理担当者含む)
- その他:
一部上場企業の子会社として連結対象
税理士顧問契約あり(最近しました)
経理だけだと人数が少ないですよね。
ちなみに他のグループ会社の経理も同じような人数でした。
実際の経理業務
会社で実際に作業している経理業務として、大きく分けて下記の4種類になります。
- 管理会計の作成
- 四半期ごとに財務諸表等の作成
- 年1回の確定申告書の作成
その他上記以外にも経理処理の不明点があれば都度質問がきます。
内容を聞いて処理方法を考えて処理しますが、どうしても難しい取引の場合には親会社に相談したり、税理士に相談します。
管理会計表の作成
管理会計表を毎月作成し、社内で損益管理を実施しています。
月次決算のため、毎月締め日を決めて毎月の損益を確定させています。
その確定した損益をもとに管理会計表を作成する作業が毎月あります。
そのため経理業務で忙しいとしては下記のとおりです。
- 締め日の前後
→ 締め日までしか処理ができないため残業してでも終わらせる必要があります。 - 管理会計表報告日の前日まで
→ 締め日後に確定させた損益から管理会計表を作成する必要があります。この管理会計表は会社の幹部の方へ説明するため、説明日の前日は残業してでも管理会計表を完成させる必要があります。
締め日までの処理はチェックリストを作成しており、漏れが無いように処理できる体制にしています。
具体的には、現金残高や預金残高等の確認、在庫残高の確認、固定資産の計上漏れの確認等です。
管理会計表の作成は、営業部や工事部等から決まった資料をもらいエクセルで作成しています。エクセルは自由度が高いことと、管理会計表の様式は会社で独自に変更できるため、その時の幹部管理職の判断で表示項目が増えたり減ったりします。
また、親会社報告用の管理会計表も存在するため、社内用の管理会計表と親会社報告用の管理会計表の2種類の作成があります。
細かい話ですが、毎日入出金管理があります。この入手金だけを対応している者がおります。
※処理が概ね決まっているため特に仕訳等の簿記の知識が無くてもできていますが、たまにイレギュラーな入出金があるときは、処理方法を一緒に考えています。
四半期ごとに財務諸表等の作成
親会社が上場していおり、連結対象子会社のため四半期ごとに財務諸表の作成が必要になります。ここで注意点は、財務諸表を会計基準で作成することです。
税理士事務所では、税務(法人税に合わせて)で財務諸表を作成しておりました。
例えば、低価法(商品評価損)や、株式等の時価評価への変更、税効果会計等になります。
※日商簿記検定2級の知識で十分対応できます。
まずは、会社の個別財務諸表を作成し、そのあと、親会社指定の連結ソフトに金額を入力することで連結決算まで実施します。
ちなみに個別財務諸表の作成から連結ソフトへの入力までは、親会社指定の締め日があり、この締め日の日も残業になることが多いです。
※管理会計表を作成しながら、財務諸表作成もします。
年1回の確定申告書の作成
財務諸表を作成してから、国の定める提出日までに確定申告書を作成して提出する必要があります。
この確定申告書は法人税や消費税を知らないと作成できません。
申告書作成ソフトを使用し作成していおりましたが、専門性が非常に高いこと、工数削減のため税理士事務所と契約して作成を依頼しています。
確定申告書の作成はグループ会社でも対応が分かれています。
- 確定申告書の作成~提出まですべて自社でしている会社
→ 税務調査(国が確定申告書の内容に問題がないか確認すること)の対応も自社で対応している会社と、税理士事務所にお願いしている会社とわかれます。 - 確定申告書の作成は自社、内容の確認~提出は税理士事務所
- 確定申告書の作成~提出まですべては税理士事務所
経理業務以外の業務
経理業務以外の業務も多くあります。
例えば下記のような業務です。
- 現地で運用を含めて経験できる。
- 会社の規定作成に参加できる。
- 会社に係る法律を知ることができる。
- 税理士や会計士から学ぶことができる。
- マネジメントや組織を経験することができる。
現地で運用を含めて知ることができる。
税理士事務所で勤務している時には、たまに現地を見に行くことはあっても、毎日行くことはありません。そのためその時だけしか知ることができませんので自ずと限界があります。
しかし、会社で働くことで毎日のように情報がきます。そのため様々な情報を知ることができるので、その業界の知識が実務として知ることができます。
他にも会社の経理をしていて特に勉強になったと思う点は次の通りです。
- 業務用システムと会計システムの連携に係ったこと
- 業務改善を実施してきたこと
会計システム以外の業務用のシステムを活用していたため、業務用システム特定の処理がされた場合には、特定の仕訳で会計システムに連動させることを考えたり、そもそもの業務用システムの運用方法自体を見直したりと、システム周りの処理を考えることができました。
更に、管理会計表を作成するための様式がバラバラだったため、フォーマットを統一させることで、マクロが使用できるように業務改善を実施したり、何を改善することが全体にとって効率的かを話し合うことで、会社全体の業務効率を考えることができました。
会社の規定作成に参加できる。
経理だけでなく内勤業務として、「社規定等の修正や作成」をすることがあります。
社規定や通達を作成することで、税務上の恩恵を受けるように動いたり、資格手当等の規定を作成に参加することがありました。
作成してから実際に運用してみると、感触を実際に経験するため面白く感じました。
例えば、「こんなルールじゃ守れないよ!」とか「最初からこうして欲しかった」等です。
資格手当を作成するときは、簿記の必要性を訴えることで、資格手当に日商簿記検定が反映されました。
会社に係る法規を知ることができる。
例えば税理士事務所にいると「税法」には当然詳しくなります。
また比較的「労働基準法」や「会社法」も詳しくなります。
ただ会社に勤めると「建設業法」や「下請法」、「労働安全衛生法」等様々な法律を広く知る必要がでてくるため、その都度「外部の専門家」と打ち合わせを行うことで、知識を吸収できました。
特定の分野に深く強くなる必要はもちろんありますが、その幅を広げるのにとても有効でした。
建設業法では「建設業経理士」の存在をしることができましたので、資格取得することができました。

労働安全衛生法では「衛生管理者」を会社から取得するように指示を受けて、勉強するきっかけになりました。

様々な外部組織から学ぶことができる。
「会社に係る法規を知ることができる。」でも書きましたが、「外部の専門家」から学ぶことは多く、さらに「コンサルティング」を受けることもあります。
例えば下記のような方と一緒に仕事をしました。
- 親会社の内部監査部の監査
- 公認会計士
- 税理士
親会社の内部監査部の監査
親会社には内部監査部があります。
子会社で何か不正がないか、会計関係だけでなく、業務上も不正が無いかチェックされます。3日間会議室に立てこもり、業務関係の資料や会計関係の資料を読み、関係者が呼ばれてヒアリングを受けます。
注文書がちゃんと提出されているのか?労働基準監督署に書類を出しているのか?衛生管理者は週一で巡回しているか?といった確認や、棚卸表は誰の承認があるのか?といった確認までされます。
公認会計の監査
連結子会社のため主に会計面での不適切な処理が無いかを確認します。
会議室に何日か立てこもり、会計関係の資料を見ながらヒアリングを受けます。
ゴルフ会員権の時価評価が問題ないか?賞与引当金はどうか?といった内容だけでなく、管理会計までアドバイスをいただけました。
税理士
不明点の確認をしたり、四半期ごとに財務諸表について説明をしたりしております。
確定申告書を作成する時には、お世話になっています。
あまり監査は特にありませんが、消費税の課税関係の処理間違いがないか、法人税の損金算入できるかといった点の確認がメインです。

何社か規模が大きさを理由に断られました。
他にも親会社に労務のことを確認したり、税法のことや会計処理を確認します。
親会社では歴史もあり、優秀な人材も多く外部の専門家に負けないぐらい知識があるため本当に日々勉強になることが多いです。
また税理士事務所でも働いていたので、「コンサル(アドバイス)を行う側」になるには「コンサル(アドバイス)を受ける側」になることで学べることは多いと感じました。
マネジメントや組織を経験することができる。
一般的に士業の事務所は従業員が「数人単位」の場所が多いですが、会社であれば「100人以上」の会社も多いと思います。
そのため「部下の育成」であったり、「組織(根回しや派閥等)」を経験することができました。
※例えば会議のやり方や物事を動かすための根回し等
新規事業立ち上げ等のプロジェクトで多くの人数を動かしたり、何かを展開するのはマネジメントのいい経験になりました。
まとめ
- 経理業務は管理会計表作成がメイン
ただし、財務諸表や確定申告書も作成します。 - 経理業務以外も多くのことを学べます。
例えば、税法以外の会社に関係する法律等です。 - 外部の専門家等の監査等で多く事を学べます。
指摘の中に気づきがあり、より会社を良くするためにいろいろと考えることができます。
会社の経理では税務だけでなく、会計や各専門家の方とのやり取りや監査等幅広く経験することができました。
やりがいも多いと感じます。
経営者の方と係ることが多いためいろいろな学びもあります。
また、管理会計表の作成や財務諸表の作成、監査終了時等ひとつの区切りでは、とても達成間も味わえます。
そのため全員で会社を良くするための知恵を出し合うことも楽しいと感じています。
ちなみに「労働環境」間違いなく大企業になるほどいい傾向にあります。
私のいる会社では、「安全衛生委員会」があり残業を減らす施策を会社が実施しています。
そのため「残業時間」や「有給の取得」が決められているため、家族の時間や勉強時間が確保でき、「ボーナス」までもらえ場合もあります。
独立するにしても、専門家になるにしても、今しかできないことを大切にして、「会社」で働く選択しも考慮してください。
