
実態や、作業内容を体験談を含めて記載しますので参考にしてください。
経理事務の業務
経理事務と言っても大きく下記3つ業務に分かれます。
- 入出金業務:入出金管理及び会計システムへの入力
- 会計業務:財務諸表の作成
- 財務業務:資金管理(銀行との打ち合わせ等)
入出金業務とは
入出金業務とは、文字通り現金や預金の入出金等の管理をすることです。
入出金管理とは例えば下記の業務です。
- 旅費経費精算
- 給与支払い
- 仕入先へ支払い
- 税金や社会保険の支払い
- 得意先からの入金管理
会社では得意先への訪問時の交通費や会食費用等の経費を精算するために現金の支払いや従業員への給与の支払い等の支払業務の管理から、会社の規模によっては給与計算の実施をします。
得意先からの入金管理については規模や業種により、営業部が実施することもありますが、少なくとも売掛金管理(未入金の確認等)は経理部が実施します。
また入出金があれば、その情報を記録しなければなりません。
会社の入出金はすべて記録をとる必要があります。
この記録を仕訳といいます。
一般的には仕訳を会計ソフトに入力したり、伝票を作成したりする業務までを入出金業務となります。
会社の入出金は全て記録(仕訳)する必要がある。
会計業務とは
会計業務とは大きく分けて3つの業務があります。
- 財務諸表の作成
- 税務関係の書類作成
- 管理会計の作成
財務諸表の作成
財務諸表の作成とは、入出金を仕訳として記録します。この記録を会計ソフトで集計します。
会計ソフトに集計した記録と実際の資料を突き合わせて間違いがないかのチェックを実施します。
例えば、通帳の残高1,000,000円と会計システムの預金残高1,000,000円が合っているかです。
仮に通帳の残高1,000,000円と会計システムの預金残高999,999円で一円でも違うと何か間違いが無いか入出金業務を担当している者に確認したり、自分で通帳の記録と会計システムの取引記録を突き合わせして確認します。
これを会計システムの全データで確認します。
その後財務諸表を会計システムから出力します。
なお、財務諸表には貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書等があります。
会計システムのデータの確認を実施し、問題がなければ会計システムのデータから財務諸表を作成する。今は会計システムから簡単に出力されることが多いです。
税務関係の書類作成
財務諸表を作成してから、年に1回税務関係の書類として法人の確定申告書を作成します。
法人の確定申告書は大きく分けて法人税関係と消費税関係の2種類あります。
法人税関係では財務諸表との違いを記載して法人税法上の利益を計算します。
例えば、交際費は財務諸表では費用として利益のマイナスになりますが、法人税法上では、費用としないで法人税法上の利益とする等です。この法人税法上の利益から法人税を算出します。私の経験では、会計システムとは別の申告書作成ソフトで計算しています。
消費税関係では、売上時に貰っている消費税と仕入時に支払っている差額を国に納付しますので、会計システム上から消費税のデータを出力して計算します。
ただ今の会計システムは優秀なので、消費税の確定申告書はすぐ出力できます。
税金関係の大きな業務は上記の2種類が代表的な経理業務になりますが、他にも年末調整や固定資産、事業所税等の申告書もあります。
税金関係の書類の作成としては、年末調整等の業務もあるが、大きく分けて下記の2種類が経理業務としては代表的です。
- 法人税関係
→ 会計システムとは別の申告書作成ソフトを使用します。 - 消費税関係
→ 会計システムから出力されることが多いが、申告書作成ソフトを使用することもあります。
管理会計の作成
どんな会社でも、財務諸表と税金関係の書類は作成しておりますが、管理会計を作成している会社はまだ少ないと感じます。
管理会計とは、作成が法律上で義務とはなっていませんが、会社が数字を管理する目的で作成するものです。
そのため様式に決まりがなく、会社の幹部の人が欲しい情報(主に数字)をまとめたものになりますので、会社によって様式はバラバラです。
例えば、部門ごとに損益を計算したり、製品ごとに損益を計算したりします。
経験上中堅企業から大企業までは作成していることが多いと感じます。
ただ、KPIなどの指標を管理することがあると思いますが、これは大きな意味で管理会計として含まれると私は思います。
管理会計の作成は法律で義務付けられていないため、作成していない会社もあります。また作成していても様式はバラバラです。
財務業務とは
財務業務とは資金管理のことです。
資金が無くなると、従業員への給与の支払いや仕入先、税金等の支払ができなくなるため、資金管理する必要が絶対に発生します。
資金が無くならないように中小企業や個人事業主の場合には、銀行等の金融機関から資金を借りることになりますので、銀行との交渉をします。
このとき、借入するために「事業計画書」を作成したり、「財務諸表の説明」をしたりします。
また大会社の場合には資金をどう運用するかを銀行に相談したり、グループ全体の資金効率を良くすることを考えています。
財務業務では資金が無くならいように管理します。また銀行等の金融機関への相談業務も行っています。
会社規模による経理業務の違い
会社規模により経理業務の範囲が変わってきます。
分業が進んでいますので、全ての業務を一人の方が対応することはありません。例えば下記のような業務分担になります。
- 固定資産担当
- 管理会計担当
- グループ連結担当
- 個別財務諸表担当
- 会計士担当
- 税務担当
- 財務担当
- 業務改善担当
ただし、業務を複数担当することはありますし、グループリーダーや課長は実際には業務をしなくても各担当のフォローをする必要はあります。
税務関係の書類は基本自社で作成します。税理士事務所は申告書の確認だけであったり、税務調査(税務署が企業の申告書に問題がないか会社にきて調査すること)の対応のみであることが多いです。
また、管理会計は必ず作成しています。
会社規模にもよりますが、基本的に経理担当者が行いますが下記のようなパターンがあります。
- 領収書や請求書を税理士事務所に渡して、帳簿記帳から財務諸表、税務関係の書類作成まで税理士事務所で対応
- 領収書や請求書を会計システムに入力までを自社で行い、税理士事務所は会計システムの入力の確認、財務諸表や税務関係の書類作成は税理士事務所で対応
- 領収書や請求書を会計システムに入力し財務諸表の作成までを自社で対応し、税務書類の作成は税理士事務所で対応
自社でできる会社は自社で作業し、経理を入れていない会社は税理士事務所が対応しています。
また、管理会計は作成している会社と作成していない会社があります。
大企業ほど分業が進んでいますので、経理としてのスキルを伸ばしたいのであれば、中小企業の方が経理業務全般をすることができます。
経理事務に活かせる資格
経理事務活かせる資格は下記の5種類の資格です。
会計業務にも税務関係の申告書作成でも簿記は経理事務の知識の基礎となる資格です。
- 簿記検定
- 公認会計士
- 税理士
- 建設業経理士
- 税法能力検定
簿記検定
大きく分けて下記の2種類があります。
- 日商簿記検定(主催:日本商工会議所)
→ 通常簿記検定はこちらのことです。 - 簿記能力検定(主催:全国経理教育協会)
→ 全経簿記といいます。
難易度はほぼ変わりませんが、日商簿記の方が問題が難しいです。
日商簿記の問題は教科書通りの問題がでず、工夫して解かせる問題が多いためです。
一般的に簿記といえば、日商簿記検定のことを指します。
入出金の会計システムへ処理でも仕訳がわからないと処理できないことも多いため、日商簿記検定3級(できれば日商簿記検定2級)までの知識は必要です。
大企業のように分業がきっちりできて仕組み化されている場合や入出金管理の場合には仕訳ができなくてもいいケースがありますので必須ではありませんが、会計業務では業務では必須です。
また、財務業務でも銀行に説明する必要がありますので、簿記検定の資格があった方が理解できます。
日商簿記検定1級(日商簿記検定では一番難しいです)又は簿記能力検定上級(全経簿記では一番難しいです。)を取得すると税理士の受験資格にもなっており、更にキャリアアップできます。
簿記検定の知識は間違いなく経理業務の基礎になる知識です。
公認会計士
会計の最高峰の資格です。
公認会計士の資格を取得すると税理士の資格も取得することができます。
公認会計士は独占業務として、企業が作成した財務諸表の監査をすることができます。これは会社が自分たちで財務諸表を作成するため粉飾決算をする可能性があるため、公認会計士は企業を監査し、企業の作成した財務諸表に問題がないことを承認する行為になります。
日商簿記検定1級よりも遥かに難しく、簿記だけでなく、管理会計、税法(法人税や消費税等)、監査論等の知識が習得できます。
税理士
法人税や消費税等の税法に特化した専門家の資格です。
税金は個人から大企業まですべての経済取引に関わります。
例えば、給与には所得税、買い物をすれば消費税が発生します。
税法に特化しておりますが、簿記の試験にも合格する必要があり、簿記の知識を知っていることが前提で税法の勉強をしますので、当然に簿記の知識が必要になります。
日商簿記検定1級より遥かに難しく、簿記関係の試験と税法関係の試験の両方に合格する必要があります。
建設業経理士
建設業経理士は、名前のとおり建設業に特化しております。
基本的には建設業でなければ無理に取得する必要はないと思います。
建設業では、公共工事を受注するために「経営事項審査」を受ける必要があり、その審査で会社の点数がつけられます。この点数が高いほど受注に有利になるのですが、建設業経理士1級を保有し、かつ、特定の研修を受けることで「登録1級建設業経理士」になることで、「公認会計士・税理士」と同様の扱いになり、点数がアップするメリットがあります。
そのため建設業界会の経理をするのには、建設業経理士の資格がある方が優遇されます。

税法能力検定
税法能力検定には、「法人税」「所得税」「消費税」「相続税」の検定試験があります。
税理士ほどの難易度はありませんが、税法の知識は経理業務では簿記と同じかそれ以上に必須になります。
基本的にはどんな取引でも消費税は考える必要がありますし、利益があれば法人税が、給与を支払う場合には所得税も発生します。
税理士試験を勉強するほどではないが、税法を学びたいので勉強するのは良いと思っています。
実際に税理士事務所で働いていた時に受験しましたが、基礎を学ぶには非常に良いと感じました。
個人的に経理業務をするのであれば、日商簿記検定2級があれば大丈夫と考えます。プラスして税理士試験等を目指さないのであれば、税法能力検定は良いと思います!
まとめ
参考にしてください!
- 入出金業務:入出金管理及び会計システムへの入力
→ 会計システムへの入力では簿記の知識があると良い - 会計業務:財務諸表の作成
→ 簿記の知識は必須です。 - 財務業務:資金管理(銀行との打ち合わせ等)
→ なくても説明できますが、基本は必要と考えます。
- 大企業では分業が進んでいる。
- 中小企業ではどこまで経理業務を実施するか差が激しい。
→ 中小企業で経理した方が全体を理解できます。
色々な資格があるが経理業務を考えると下記の資格がおすすめです。
- 日商簿記検定(会計の基礎知識が身に付きます。)
- 税法能力検定(税法の基礎知識が身に付きます。)
経理業務をしていると、経営者の方とお話しする機会が多く学べることが多くて大変勉強になります。
また説明が多いためプレゼン能力も身に付きますし、製品別の資料を分析したり、収益が悪化している分析を調べたりしますので、考え方や分析力が身に付きます。