税理士事務所で働いて思ったこと
「税理士事務所」で働くのであれば、「アルバイト」や「パート」で働く補助者以外は、そこで働く「目的」をしっかり持つことが大事だと思いました。
なぜなら、私が働いた税理士事務所では下記の内容があてはまったからです。
- 給料が安いことが多い
- 労働時間が長い(常時月70〜100時間)
- 仕事のプレッシャーがきつい
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- 実務経験を得られる
- 経営者の方と直接やり取りをするため勉強になる
このため、税理士事務所で働く人のうち、男性は「税理士」になるため勉強しながら働く方がほとんどです。
ちなみに、税理士を目指す場合には、ほぼ必ず「専門学校」に通います。
そこの専門学生の間で「就職情報の意見交換」が行われており、「税理士事務所」は“きつい”というのが、あたりまえの認識でした。
ただし、多少きつくても税理士になるためには、実務経験を得る必要があるため頑張るのです。
だからこそ、「税理士になる」や「実務経験のため」といった明確な目的がないと間違いなく辞めたくなります。
税理士事務所ってなにをするところ?
「決算書」を作成したり、「税務コンサル」をしますが、主としては「税金」の計算をします。
税金の計算では、会計関係の専門知識が必要になるため、「経験者」を採用することが多いです。
経験者は「会計事務所経験者」や「企業経理経験者」のことです。
中には「未経験可」もありますが、「簿記2級以上」や「税理士の科目合格」を求められます。
ちなみに「会計事務所」と「税理士事務所」は似ていますよね?
感覚として、「公認会計士」が「税理士」として開業すると「会計事務所」となることが多いと思います。
しかし、ほとんどの「会計事務所」は、「税理士事務所」と同じ仕事をしています。
税理士事務所の仕事内容
私が主にしていた仕事は、下記のとおりです。
- 記帳代行(領収書等から会計システムへの入力)
- 法人の決算及び確定申告
- 個人の確定申告
- 月次監査(顧問先の巡回)
- 税金の相談対応
- 銀行からの融資対応
- 年末調整
- 償却資産税の申告
税理士事務所は、個人事業主や法人と顧問契約を締結しており、「顧問先」と呼んでいます。
私は、大体25社前後を担当しており9割は法人でした。
記帳代行(領収書等から会計システムへの入力)
「記帳代行」は、顧問先から「領収書や請求書等」を送ってもらい、内容や金額を会計ソフトに仕訳を入力し、「試算表」や「決算書」を作成することです。
※会計ソフトに入力することで自動的に「試算表」や「決算書」ができます。
見たことがない出費や資料があれば、「確認事項」を洗い出し疑問点をエクセル等にまとめておき「顧問先へ訪問」する際に、まとめて確認していました。
法人の決算及び確定申告
法人(会社のこと)は決算を行い、その決算に基づいて作成した「決算書」から「確定申告書」を作成し、税務署へ提出いたします。
決算とは、事業年度(例えば4/1~3/31までの期間を言い会社によって事業年度は任意です。)の損益に漏れがないか、金額等の内容は合っているのか等をチェックし、その事業年度の損益を確定させることを言います。
そのまとめた結果が「決算書」です。
「決算書」の内容と「確定申告書」は内容は似ているのですが、違います。
「確定申告書」とは、決算書とは利益をまとめるのですが、確定申告書は税金の計算用に計算する書類です。例えば、交際費は費用なので決算書ではマイナスですが、申告書では費用の扱いにならないなどの調整をし、税金を確定させた書類のことです。
個人の確定申告
個人事業者(個人事業者以外もあります)の「確定申告書」を作成して、税務署へ提出するまでの業務を行います。
個人事業者の方の事業年度は1/1~12/31と決まっており、3/15までに確定申告書を提出しなければなりません。
個人事業者の方は取引件数が少ないので、2月ごろにまとめて、記帳代行~確定申告書の作成まで実施しておりました。
※顧問先の法人の役員の方の確定申告もありました。
月次監査(顧問先の巡回)
毎月顧問先に訪問することをいいます。
業務としては記帳代行で頂いている資料の内容を確認したり、決算までの売上の見込み等をヒアリングします。
※自社で経理がいる会社もあり、仕訳に間違いがないかのチェック等もします。
訪問時には、顧問先からも「今後○○の取引があるんだけど、どうすると費用になる?」「会社設立したいんだけどどう思う」等聞かれます。
ちなみに、月次巡回は担当者のみで行くことが多いですが、決算月には節税のアドバイスを「所長(事務所の代表)」と一緒に行います。
税金の相談対応
上記の通り月次監査の時もそうですが、何かあればすぐに連絡がきます。
「1週間後に○○があるんだけど、どうしたらいい」や「いくらまで客先にプレゼントしてもいいの?」など随時電話等でも相談があります。
税金の相談では答えのないことも多く、自分で国税庁のHPで調べたり本を読んで調べた後に所長に相談し、解答していました。
銀行からの融資対応
銀行や公庫等に顧問先の方と所長と一緒に訪問し、融資の相談をすることです。
決算書等の書類の準備をしたり、決算書等の金額や内容を説明します。
もちろん銀行と顧問先・所長の日程を調整することも実施し、訪問日前までに試算表を作成するための段取りも必要になります。
年末調整
毎年12月~1月にかけて年末調整を実施します。
年末調整とは給与としてお支払している従業員の1/1~12/31までの期間の給与に関係する税金を確定させる作業のことです。
※イメージとして確定申告の給与のみの簡易版と思ってください。
給与明細や扶養控除等申告書等必要な書類を集めて、給与システムに入力し、入力に間違いがないかのチェックをして「源泉徴収票」の発行まで行います。
償却資産税の申告
事業者の固定資産(ざっくり言うと10万円以上の資産、例えば、機械や購入した事務所や事務所リフォーム費用)について、市区町村に申告書を提出します。
まとめ
一般的には繁忙期になります。
上記の通り色々と業務があります。
細かな業務をあげると他にもあるのですが、(例えば、法人設立等で司法書士の先生とやり取りや、給与計算結果をしるため社会保険労務士とやり取りもありました。)
調べながら学んでいきました。他にも所長の家の手伝い等もありました・・・
実務と試験の違い
私は入社当時は「簿記2級」しか持っていませんでした。
そのため、法人税や消費税法等が未経験で覚えることが苦労しました。
例えば「交際費」の「損金不算入(費用にならないこと)」等は「法人税」を知らないと簿記の知識だけではわかりません。「損金不算入」の意味も当然知りませんでした。
全て実務で苦しみながら覚えました。
何度も勉強してから入社できれば良かったと思いました。
ただし、勉強をしていたとしても、実務と勉強ではもちろん違います。
例えば、試験は解ける様に問題が出題され、前提条件も与えてくれます。
実務では、顧問先の方が聞いたこともないような、業界特有の事象や、国税庁のHPにも記載がないこと、また記載があっても、微妙な言い回しが多い条文や通達を解釈し、その顧問先にあった回答を求められます。当然税務調査等で問題がないように準備する必要もあります。
他にも通常の業務の中でも、例えば消費税の納税義務の判定では、「判定するための条件を問題上に与えられます」が実務では、「資料を集める」ところから実施し、集めた資料から、課税事業者かどうか判定します。なおその際には事前に、簡易課税か原則課税どちらが安くなるかシュミレーションし、顧問先に確認し了解をもらういます。
何度も○○と××があるから大丈夫と、不安になりながら確かめました。

まとめ
結構激務ですなので覚悟してください。
実務経験を得ることを考えると非常にいいと思います。
私のいた事務所では、相続関係はほぼ無かったです。
ただし、中小企業で勤めれば上記のような業務は大体実務で経験することができます。
そのため、中小企業で勉強して資格を取得してから、税理士事務所で働く選択肢もありだと思います。
また私もそうですが、税理士事務所で経験を積んでから企業に就職することも大いにありだと思います。
最後にもし、比較的大企業に就職できるのであれば、まずは大企業に入社することをオススメします。
税理士事務所や中小企業では、研修制度が充実していない可能性が高いこと、大企業であれば給与が税理士事務所や中小企業と比較して高いことがあるためです。
勉強して、お金を貯めてから税理士事務所に勤めることは可能かと思いますので、ご検討してみてください!
<税理士事務所の仕事内容をまとめた記事はこちら>

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